Resolve AI は「障害対応」をエージェントに任せる——創業2年、シリーズAで評価額は10億ドル
本番環境の障害対応を AI で自動化するスタートアップ Resolve AI が4日、Lightspeed Venture Partners 主導のシリーズ A で1億2,500万ドルを調達したと発表しました。既存投資家…

本番環境の障害対応を AI で自動化するスタートアップ Resolve AI が4日、Lightspeed Venture Partners 主導のシリーズ A で1億2,500万ドルを調達したと発表しました。既存投資家の Greylock Partners、Unusual Ventures、Artisanal Ventures、A* も参加しており、累計調達額は1億5,000万ドル超となっています。公式発表によると評価額は10億ドルで、創業からわずか2年弱でのユニコーン入りです。
TechCrunch は昨年12月の時点で同社がこのラウンドを交渉中だと報じており、複数トランシェ(段階的な条件での調達)の可能性にも言及していました。これに対し同社の広報担当者は「全株式が10億ドルの評価で発行された」と説明し、ブレンド型ではないと明確に否定しています。シリーズ A でこの金額と評価額は、昨今の AI スタートアップの中でも破格の水準です。
「障害が起きたら人間が調べる」を終わらせる
さて、Resolve AI は何をする会社なのでしょうか。ひと言で言えば、サーバーやクラウドサービスが止まったとき、原因の特定から修復までを AI エージェントに任せる——いわゆる「AI SRE(Site Reliability Engineering)」と呼ばれる新興カテゴリのプレーヤーです。Sequoia Capital が出資する Traversal なども同領域に参入しており、注目が集まり始めています。
実は褒められた話ではないのですが、まさについ先日に本誌もある障害を抱えたのですが、その初動で活躍してくれたのは Claude Code でした。なかなかわかりにくい障害だったため判断が難しかったのですが、結果的に初動で Claude Code が調査してくれた結果がドンピシャ正解だったわけです。
現代のソフトウェア開発では、コードのリリース頻度が飛躍的に高まっています。しかしその一方で、本番環境で何か問題が起きたとき、エンジニアがアラートを受け取り、ログを辿り、原因を突き止めて対処するという作業は依然として人手に頼っています。クラウドインフラの複雑化、頻繁なデプロイ、そして属人的なワークフローへの依存が重なり、障害対応にかかる時間と人的コストは膨らむ一方です。
Resolve AI はこの問題に対し、マルチエージェント AI システムを本番環境に直接組み込むアプローチを取っています。同社のプレスリリースによると、アラートのトリアージ、自動的な障害調査と解決、運用課題の予兆検知、さらにはコード記述時にリアルタイムの環境コンテキストを提示する機能まで備えています。ここで重要なのは、汎用の大規模言語モデルをそのまま使っているわけではないという点です。
Resolve AI のエージェントは、導入企業ごとのスタック、ビジネスロジック、過去のインシデント履歴を学習します。「その会社のシステムを知っている AI」が障害対応にあたるわけで、これが既存のモニタリングツールとの大きな違いになっています。
導入企業には Coinbase、DoorDash、MongoDB、MSCI、Salesforce、Zscaler など、大規模な本番環境を抱えるエンタープライズが名を連ねています。創業から2年足らずでこれだけの顧客がいるのは、裏を返せば、本番環境の障害対応がいかに切実な課題であるかを物語っているのでしょう。
この会社の面白さは、創業者の来歴にもあります。CEO の Spiros Xanthos 氏と CTO の Mayank Agarwal 氏は、2人ともオブザーバビリティの世界でキャリアを積んできた人物です。オブザーバビリティとは、システムの内部状態をログやメトリクス、トレースといった外部出力から把握できるようにする考え方で、平たく言えば「システムの健康診断ができる仕組みを作る」技術領域です。2人は以前 Omnition というスタートアップを創業し、2019年に Splunk に売却。その後 Splunk では、このオブザーバビリティ事業部門を統括していました。
さらに、クラウドネイティブ環境のテレメトリデータを標準化するオープンソースプロジェクト OpenTelemetry の共同創設者でもあります。OpenTelemetry は現在、クラウドネイティブ環境で広く採用されており、システムの「見える化」における標準的な仕組みになりつつあります。
つまり2人は、システムを「見える」ようにする技術を作った当事者です。その彼らが次に取り組んだのが「見えた問題を、自動で直す」こと。オブザーバビリティの次のレイヤーに踏み込んだ格好で、投資家がシリーズ A でこの規模の賭けに出た理由も、この文脈を考えると理解しやすいのではないでしょうか。