Image Credit: Gather AI

倉庫で起きていることと、管理システム上の数字が一致しない——物流の現場では古くから続くこの問題に、ドローンとコンピュータビジョンで挑むスタートアップが成長資金を手にしました。

ピッツバーグ拠点の Gather AI は、シリーズ B ラウンドで4,000万ドルの資金調達を完了したことを発表しました。元 Salesforce 共同 CEO の Keith Block(キース・ブロック)氏が設立した Smith Point Capital がリードし、Bain Capital Ventures、Tribeca Venture Partners、Bling Capital、Dundee Venture Capital、XRC Ventures、新規投資家の The Hillman Company が参加しています。累計調達額は約7,400万ドルになりました。

Gather AI が提供するのは、市販のドローンに独自のコンピュータビジョン AI を搭載した在庫管理プラットフォームです。オペレーターがミッションを選択してドローンを通路に配置すると、あとは人の支援なしに自律飛行し、棚の状態をスキャンしていきます。1人のオペレーターで最大3台を同時運用でき、通常環境では1時間あたり最大500パレットの処理が可能です。

読み取る情報はバーコードだけではありません。ロットコード、賞味期限、印字テキスト、ケース数、さらには部分的に破損したラベルまで、10以上のデータポイントを画像から抽出します。

これらを倉庫管理システム(WMS)のデータと自動照合し、在庫の不一致や空きロケーション、異常をダッシュボード上でリアルタイムに可視化します。同社によれば、在庫精度は70%向上し、手作業時間を75%削減、従来の監査と比較して25倍の速度でのスキャンを実現しているといいます。

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技術面での特徴は、この AI が大規模言語モデル(LLM)に依存していないことです。共同創業者で CEO の Sankalp Arora(サンカルプ・アロラ)氏はTechCrunch に対し、同社の技術は「古典的なベイズ手法とニューラルネットワークの組み合わせ」だと説明しています。

インターネット上のデータではなく、数百万件の実際の倉庫画像から学習したモデルで、「飛行ロボットに好奇心を持たせる」というアロラ氏の博士課程の研究をベースに、ドローン自身が次に何をスキャンすべきかを自律的に判断します。 Wi-Fi や GPS が使えない環境、−20°F(約−29℃)の冷凍庫、幅4フィート5インチ(約1.35メートル)の狭い通路でも動作します。

Gather AI はもともとドローン企業として出発しましたが、現在は「ソフトウェアファースト」の AI ビジョンプラットフォームへと進化しつつあります。 AI ビジョン技術をドローンから切り離し、フォークリフトやその他のマテリアルハンドリング機器にも搭載できるようにしたことで、導入の選択肢が広がりました。将来的には固定カメラやウェアラブル端末への展開も視野に入れており、最終的な目標は倉庫全体の「デジタルツイン」——物理環境をリアルタイムに反映するデジタルコピー——の構築です。

創業者3名はカーネギーメロン大学(CMU)の博士課程で出会い、バージニア州クアンティコの FBI 訓練施設で自律飛行ヘリコプターを開発・テストした経歴を持ちます。導入企業には Kwik Trip、Axon、GEODIS、NFI Industries などの名前が挙がっており、Burwell Material Handling とのディーラーパートナーシップを通じた20拠点展開も進めています。リードインベスターの Block 氏は CMU の評議員でもあり、物流カンファレンスで同社と出会った際に「5分で彼らのやっていることを理解した」と TechCrunch に語っています。

via TechCrunch